特性論は、心理学で性格を研究するアプローチ方法の一つです。アメリカの心理学者ゴードン・オルポート(1987~1964)により提唱されました。オルポートはパーソナリティを「個人特性」と「共通特性」に分けて考えました。
個人特性
他人と客観的に比較できない、個人に特徴的な特性。特性として現れる行動の背景に、個人の価値観や経験などを含むことがあるので、どんな理由でその行動を取ったのかが簡単に判別できず、他者との客観的な比較が難しい。
共通特性
多くの人に共通していて他者との比較が可能。例えば内向性であれば、「内向性が強い」「内向性が弱い」などの個人差を測ることが可能。
こののち、アメリカの心理学者レイモンド・キャッテル(1905~1998)は、「個人特性」をさらに細分化できるとしました。客観的に観察できる「表面特性」と、価値観や遺伝などの要因による「根源特性」があり、この根源特性を知るため、16ある因子がそれぞれどの程度の強さであるかを調べる「16因子質問紙(Cattell Sixteen Personality Factor Questionnaire)」を提唱しました。
表面特性
外から観察できる特性
根源特性
価値観や遺伝などの要因のよる、外から観察できない16の特性
16因子
近親、警戒、推理、抽象、適応、隔絶、支配、懸念、躍動、変革、規則、自律、大胆、完璧、感度、緊張
ドイツ生まれでイギリスに帰化した心理学者ハンス・J・アイゼンク(1916~1997)はさらに、特性論と類型論を融合させた「性格の三次元」を提唱しました。「外向・内向」「神経症傾向」「精神病傾向」の三つの因子がどの程度表れているかで、個人のパーソナリティをみることができるとしました。その後、これをもとにしたパーソナリティ診断「モーズレイ人格目録(MPI)」が作られました。
心理学
- 心理学の種類
- 心理学は科学的
- 心理学の誕生
- 心理テストや読心術と心理学の違い
- パブロフの犬の実験
- 社会心理学
- オペラント条件づけ
- ゲシュタルト心理学
- アルバート坊やの実験
- 認知心理学
- 診療心理学
- フロイト
- ユング
- アドラー
- 日本における心理学の歴史
- 心理学の専門家になるには
- 身体と心の動き
- 脳の構造
- 記憶のしくみ
- 短期記憶と長期記憶
- 記憶の種類
- 認知はどのように生まれてくるのか
- パンデモニアムモデル
- 錯視
- 知覚の恒常性
- 虚記憶
- 事実ではない事後情報
- 記憶のゆがみ
- 言語隠ぺい効果
- 凶器注目効果
- 記憶の7つのエラー
- 技能学習
- スキーマ
- 発達心理学
- 愛着
- 社会的学習理論
- 誤信念課題
- 認知発達
- 心理社会的発達理論
- アイデンティティ「自我同一性」
- アイデンティティの危機
- 「流動性知能」と「結晶性知能」
- 老年学 サクセスフル・エイジング
- 遺伝と環境
- パーソナリティの分類
- 特性論
- ビッグ・ファイブ理論
- パーソナリティ検査
- 一貫性論争
- 知能の定義
- マズローの欲求5段階説
- 自己意識
- 自己意識特性
- セルフ・ハンディキャッピング
- 認知的不協和
- ハロー効果
- ステレオタイプ
- 噂〈うわさ〉
- フット・イン・ザ・ドア・テクニック
- 情動二要因論
- 社会的アイデンティティ理論
- 泥棒洞窟実験
- PM理論
- 観客効果
- 集団極性化
- 集団の圧力(同調)
- 傍観者効果
- スタンフォード監獄実験
- 衝動的な犯罪
- サイコパス