ロバーズ・ケイブ実験(泥棒洞窟実験)
集団の対立の原理を研究したのは、アメリカの心理学者ムザファ・シェリフ(1906~1988)で、ロバーズ・ケイブ実験(泥棒洞窟実験)と呼ばれます。
1954年のアメリカ、オクラホマ州のロバーズ・ケーブ州立公園でのサマーキャンプで実施された実験で、11~12歳の男児を11名ずつの2つのグループに分けて、別のグループが存在することを知らせずに各グループで過ごさせました。メンバーは初対面でしたが、チーム名を決め、自然とリーダーが決まり、それぞれ集団ヒエルラキーが形成されました。
実験2週目に入ると、両グループに「別のグループ」の存在が明かされました。別グループの存在を知って、相手グループについて否定的な印象を持つ者もいました。それから、グループ同士で景品をかけた綱引きや野球などの勝負をさせると、対立は一層激しいものとなりました。チームの旗を燃やしたり、相手グループの宿舎を襲撃するなど敵対的になり、関係改善を目的に実施された食事会でも、食べ物を投げつける喧嘩からスタッフの介入を必要とする大乱闘になりました。
対立解消のカギとなったのは、両グループ共通の目標となる「上位目標」を与えたことでした。キャンプ場の水道管が壊れて水がでなくなってしまう、食料を買いに行くトラックが動かなくなるなどの課題を意図的に作り、協同して取り組まなければ解決しない作業を行いました。すぐには関係は改善しませんでしたが、困難を共に解決するたびに、集団間の対立はなくなって、信頼関係が深まることが明らかになりました。
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