フロイトが心を「理性と感情」「意識と無意識」などいくつかの対立する側面に分割したのに対し、アドラーは、個人こそがこれ以上分割できない最小単位であると唱え、行動を決めるのは無意識や感情ではなく、自分の主体的な意思によるものと考えました。また、行動の原因を過去の経験に起因すると考えたフロイトとは異なり、アドラーは、未来への目的によって人は行動を決めると唱えました。
さらに、人間の行動は、本能や生物学的な力だけで決まるのではなく、社会的な力によっても決まると考え、他者との関係を重視しました。劣等コンプレックス、認知論、人間関係論など、その人のパーソナリティの形成や発達が重要だと考えました。
劣等コンプレックス
幼少期のアドラーは、体が弱く、兄に劣ると感じていましたが、努力により成績を上げ、劣等感を克服しました。この経験からから提唱された劣等コンプレックスが、自分の劣等感を誇示して言い訳をするという概念です。この一方で「優越コンプレックス」は劣等感を克服できないまま、他人に対して優越感を追い求めることを指します。
アドラーはコンプレックスを悪いものとはせず、その克服への欲求が行動のエネルギーになると考えました。こうしたこころの働きは「補償」といい、その働きは二通りあると考えられます。
ひとつは、何かが苦手な場合にそれを練習して上達し、克服する場合です。もうひとつは、苦手な何かの代わりに別を分野を頑張って習得し、克服する場合です。いずれの場合も、そのコンプレックスを克服する欲求が行動のエネルギーになっています。
認知論
客観的にどう見えるかではなく、その人が主観的にどう認知するかを重視します。
人間関係論
人が抱える問題は、その人の内面にあるのではなく、他人との関係にあるという概念です。
全体論
「理性と感情」「意識と無意識」などの対立する概念ではなく、個人を「これ以上分割できない最小の単位」として考えます。
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