アメリカの心理学者フィリップ・ジンバルドー(1933~)が行ったスタンフォード監獄実験は、役割に合わせた行動がエスカレートするということで有名になりました。
1971年に、スタンフォード大学の教授ジンバルドーは、新聞広告で模擬刑務所の看守役と囚人役となる実験参加者を募集し、心理学部の建物の地下の、窓やドアに板を貼った場所を模擬監獄として過ごす21名を集めました。11名の囚人役を警察の車で自宅から連行するところから実験が始まり、ボディーチェックを受けたあと、全裸でシラミ退治スプレーをかけられ、囚人服を着て、番号で呼ばれました。10名の看守役は囚人役に対し、単純作業、腕立て伏せ、独房での監禁、素手で行うトイレ掃除などの罰を言い渡しました。看守はより看守らしく振舞うようになり、肉体的・精神的虐待がエスカレートし、囚人は精神的苦痛を訴えるようになったため、当初の2週間の予定を6日間で実験が打ち切りになりました。
人が役割によって非個人化することと、強い権力の前にはその権力を与えられた人間とその権力に服従する人間の間には理性の歯止めがなくなって暴走してしまうということが実験で明らかになったとされていましたが、近年、実験の音声データが公開され、刑務所長役であるジンバルドーが看守役へ積極的な行動指示・指導が為されていたことがわかり、実験結果そのものの信頼性が問われています。
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