認知の仕組み
目や耳などの感覚器官から送られてきた情報は、大脳皮質の中でいくつかの成分に分けられます。例えば、視覚では、目から得られた情報は「形」「色」「動き」などの情報に分けられて、それぞれを扱う領域へと伝えられていきます。脳は、単純に目で受け取った情報を「どんな色のどんな形」と処理しているのではありません。
例えば、水を見たときには、目から得た情報が大脳皮質の「一時視覚野」から「下頭頂小葉」へと伝えられ、見ているものが「水」であることが認識されます。これが知覚を達成するまでの脳で行われる大まかな処理です。視覚と当時に、目以外の感覚器官からの情報も、同じような経路をたどって、対象が何であるかを認識します。耳から得た「水の流れる音」の情報は、「一時聴覚野」から「下頭頂小葉」へと伝わり、「水」と認識されます。手が水に触れた場合も、皮膚から伝わった情報が「一時体性感覚野」を経て下頭頂小葉へと伝わり、ここでも「水」だと認識されます。
今あるものが何であるかを把握したとき、人は「今、手に触れているものは水だ。この手で何か他の物に触れる前に、手をふかなければ、濡れる。だから、手を拭こう」というように、過去の経験から手が濡れるという記憶を思い出したり、濡れたままでいるとどうなるかという未来の結果を推測してどう行動するべきか考えることができます。これが認知です。
認知の働きによって、私たちは周囲の感覚情報をもとに、適切な行動をとることができるのです。
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