ゲシュタルト心理学
心の自己観察をもとにしていたヴントの構成主義に代わる主流として、新たに行動主義がアメリカで台頭した頭、ドイツ、オーストリアでも同じように、ゲシュタルト心理学という新しい潮流が登場しました。
構成主義はこころの働きを、複数の要素が足し合わせたものだと考えるのに対して、ゲシュタルト心理学では、心のはたらきは要素ごとのバラバラのものを単純に合計するのではなく、要素の置かれ方を含む「全体」を「知覚(認識)」することによって生じるものととらえます。
ドイツ語のゲシュタルト(Gestalt)は「形状・かたち」という意味です。
カニッツァの三角形
錯視図形のひとつである「カニッツァの三角形」では、周辺の図形の形と位置の全体を把握することにより、白い正三角形が知覚されますが、実際には中心の三角形は物理的に存在しません。この錯覚図形「カニッツァの三角形」は、イタリアの心理学者ガエタノ・カニッツァ(1913~1993)にちなんで名付けられました。
ルビンの壺
デンマークの心理学者、エドガー・ルビン(1886~1951)の考案した「ルビンの壺」では、壺の輪郭の外側を背景ととらえるか、壺の輪郭の内側を背景ととらえるかによって、知覚の結果が異なります。
ゲシュタルト心理学の研究者の多くはユダヤ系で、第一次世界大戦後のナチス台頭により主要な研究者の大部分がアメリカに亡命したため、ドイツにおけるゲシュタルト心理学は衰退へと向かい、アメリカが心理学の中心地となっていきます。
ゲシュタルト心理学の考え方は知覚を対象とした「認知心理学」に受け継がれます。個人の心理にとどまらず、個人の置かれた社会や環境にも目を向ける、「社会心理学」に受け継がれています。
静止画の連続によって、実際には物理的運動は生じていないのに、動いているように見えるという「ファイ現象(仮現運動)を実験的に示し、フランクフルト大学のクルト・コフカ、ヴォルフガング・ケーラーと共同で『運動視の実験的研究』を1912年に発表しました。
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