加齢とともに、身体の機能は衰えていきます。また、聴覚などの感覚器官も、加齢に伴って聞こえづらい音域が生じたり、知覚に影響が出てきます。さらには、身体的変化だけではなく、会社を定年退職するなど、社会的な立場や役割も変化します。

このような加齢の過程にある変化にうまく適応していくことを「サクセスフル・エイジング」といいます。老化という言葉は、ネガティブな印象を置けやすいですが、幸福で豊かに老いて(加齢して)いくために、寿命という命の「量」から豊かな「生活の質(Quality of Life)」を高めることが重要になってきます。

また老年期は、だれかの死(三人称の死)や、親しい人々の死(二人称の死)を経験しながら、やがて訪れる自らの死(一人称の死)を想像して準備し、受容するという時期です。エリクソンのライフサイクルにおける「老年期」の課題である「統合」は、「自分の人生は有意義なものであった」と肯定できて、人生をやり直す時間がないことに「絶望する」という危機を克服し、「自らの死を恐れる自分自身を直視できる」ということです。

老年学

ロシアの免疫学者、イリヤ・メチコフ(1845~1916)が、古代ギリシャの哲学者キケロが説いた「ジェロン(Geryona:高齢)」というラテン語からGerontologyと名付けた、比較的新しい学問です。老齢化又は老いることについて心理学的な立場から考える学問で、老人学、加齢学ともいいます。

サクセスフル・エイジング

1987年にアメリカの老年学者、ジョン・ロウ(1944~)と、社会学者のロバート・カーン(1918~2019)が発表しました。
「病気や障がいがなく健康であること」
「身体能力や認知機能を維持して自立していること」、
「社会貢献や生きがいを持っていて人生に積極的に関与している」
という三つの条件を満たした生き方を実践できることが、サクセスフル・エイジングであるとされています。

心理学

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