精神医学から臨床心理学へ
心の病のとらえ方には長い歴史があります。
古代では、心の病は悪霊や神など、宗教的なものが原因とされていました。古代ギリシャの医師ヒポクラテス(紀元前460頃~紀元前370頃)は、迷信を否定し、自然に由来すると考えました。その後も長い間、心の病は信仰と結びつけられることが多く、中世においては魔女狩りの対象にもなりました。
17世紀にはようやく医学的な観点から心の病をとらえる動きがみられましたが、患者を施設に収容するようにはなったものの、薬の開発はまだなく、治療法はありませんでした。
19世紀に入って、ようやく医学の一分野として心の病を扱う「精神医学」が登場し、心の病を脳や神経と関連付ける「生物学的精神医学」として発達しました。
フィリップ・ピネル(1745~1826)は「精神病患者を鎖から解き放った初めての医者」として知られるフランスの精神科医です。ここから、精神医療が発展していきます。
その後、ヒステリー患者の意識下に働きかける「催眠療法」の登場により、意識のない状態、つまり「無意識」という概念が登場しました。この、「無意識」について研究を行ったのがジークムント・フロイト(1856~1939)の「臨床心理学」です。
ヒステリー
ヒステリーの語源はギリシャ語の「子宮」で、以前は女性特有の病気とみなされていました。
身体器官に異常がないにも関わらず、さまざまな身体症状が続く神経症のひとつで、現代の診断基準では、転換性障害や解離性障害に分類されます。
フランスの精神科医ジャン=マルタン・シャルコー(1825~1893)は、ヒステリー患者の意識下に働きかける「催眠療法」という治療を実施しました。シャルコーの下に学んだジークムント・フロイト(1856~1939)も同じく催眠療法によるヒステリーの治療を行い、1895年にヨーゼフ・ブロイアー(1842~1925)とともに『ヒステリー研究』を出版しました。
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