「自転車の乗り方」の学習の仕方

手続き記憶の代表例が、自転車の乗り方などの、一度覚えた手続きとして、時間が空いても脳が記憶しているものです。このような自転車の乗り方や楽器の演奏などの「技能学習」は、どうやって身につくのでしょう。

技能学習には、認知、連合、自律の三段階があるといいます。
(1)認知:課題を達成するためにどうしたらよいかという知識を得る。
(2)連合:反復により一連の動作がなめらかになる。練習で得た知識がフィードバックされる。
(3)自律:自分の動きを意識しなくても行えるようになる。

自転車の乗り方で言えば、まずは体をどのように動かせばよいのかを知る「認知」が最初の段階です。次の「連合」では、実際に自転車に乗って繰り返し練習することで、一連の動作が滑らかになっていきます。練習の結果上達するのは、「フィードバック」の結課によるものです。自分が目標とする動きと、自分の実際の動き、その両方を比べて、筋肉から脳へと情報がフィードバックされます。このフィードバックを繰り返すことで、転んだりミスをしたりすることがなくなり、徐々に自分の動作を意識しなくても自転車に乗ることができるようになるのです。この、意識しなくても動作が行える段階を「自律」といいます。

似たような技能は、一度学習したものだと習得しやすいものです。例えば、スキーを習得した人がスノーボードを習得しやすいことや、ピアノを学習した人がほかの楽器を習得しやすいなどがこれにあたります。これは、「学習の転移」といいます。「連合」の段階での練習の時に、練習で得た知識がフィードバックされるときに、学習の転移が行われます。何かを学んだ時に、ほかの学習も促進されるものを「正の転移」、学習したことにより違う学習の妨げになるものを「負の転移」といいます。

学習は一直線に上達するのではありません。心理学者ブライアンとハーターは、技能学習中に上達が止まったかのようにみえる時期があることを発見しました。これを「プラトー(plateau高原)」といいます。学習した技術を固定化するために必要な期間と考えられていて、この時期を乗り越え固定化した技能は、意識しなくても自動で行えるようになるのです。

心理学

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