医学が進歩したおかげで、いままでは心の領域に含まれていたことが、脳の物質的なふるまいによって起きるということも解明され始めています。しかし、脳の働きは非常に複雑で、まだすべてが明らかにはなっていません。脳は感覚器官から情報を得て、状況を把握し、行動に移します。それとは逆に、感情や記憶が身体に生理的な影響を及ぼすこともあります。
五感と結びつきのある記憶
脳は、「五感」と呼ばれる、聴覚(耳)、嗅覚(鼻)、味覚(舌)、触覚(皮膚)、視覚(目)の五つの感覚器官から情報を取得し、自分の周りの状況を認識して、行動を起こします。また逆に、感情や記憶などの心にまつわることが、身体に影響を及ぼすこともあります。五感と記憶の組み合わせが、その後にとる行動を左右することがあります。
例えば、いくつもの種類があるドリンクの中から、ある特定の銘柄を選ぶという行動を見てみましょう。現在目の前にある商品の直接五感に送られてくる情報と、記憶の中にある情報、その両方をもとにどれを選ぶかという行動を選択します。記憶に残る情報には、例えば過去の、良く冷えていておいしいと感じた時の商品の味、視覚でとらえた広告の映像や画像、起用されている俳優などの印象、その商品にまつわる過去の感情の記憶、暑い日に何かをやり切った後に飲んだ時の達成感と幸福感などがすべて合わさって、選び、そして購入する、という行動に至るのです。
生理心理学
生理心理学は、人間の生理学的な活動と心の動きとの関連を解明する心理学の一分野です。心と身体はお互いに相関関係があります。
実験心理学
実験心理学では、人間が五感を使って集めた情報から、自分自身の状況と周りの状況を知り、適切な行動を考えるという人の機能について、実験によって研究します。心の動きを知るためには、基本的な脳の構造などの仕組みと、その機能や働きについて理解しておく必要があります。
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