認知発達理論
スイスの心理学者ジャン・ピアジェ(1896~1980)は子供の認知能力は四段階で発達すると考えました。
感覚運動期(0~2歳)
口にいれる、つかむ、たたくなど体を動かすことで身体的な活動を身に着け、身の回りにある存在や物事を学びます。「循環反応」は、触った感触や、音が出たときの反応を面白がって、繰り返し行うことでその仕組みを探る、この時期の特徴です。また、見えているものが視界から消えても物が存在し続けていることを理解する「物の永続性」という概念は、生後10か月頃に獲得します。
前操作期(2~7歳)
言葉を覚え、「ごっこ遊び」で自分とは違う人の真似をする段階です。自分を中心に身の回りを解釈するため、自分を客観視することや、自分とは異なる視点があることはまだ理解できません。例えば、かくれんぼで顔だけ布で隠して、他人から見たら体が全く隠れていない、ということがわからないのが前操作期の特徴です。
このあと徐々に「視点の変換」という概念を獲得し、自分が見えているものを別の角度から見ると見え方が異なるということが理解できるようになります。ピアジェは発達段階が前操作期にあるのか具体的操作期にあるのかを判定するため、「三つ山問題」でテストしました。テストでは、子供が三つの山の模型のレイアウトされたテーブルの前に座ります。三つの山は、それぞれ大きさが違い、特徴も違います(雪が積もっている山、山頂に赤い十字架が立っている山、山頂に小屋がある山)。子どもは、模型を360度ぐるりと観察することが許され、観察の後、自分とは位置に置かれた人形から見える模型の視点を10枚の写真から選択します。4歳では、人形の視点でも自分と同じ視点の写真を選ぶという結果でしたが、6歳で自分の視点と他人の視点が異なるということに気づくことができ、7~8歳までに複数の視点を明確に認識して、正しい写真を一貫して選択できるようになります。
具体的操作期(7~12期)
この時期に理論的な思考をし始め、数や量、またその「保存の概念」が理解できるようになります。AとBふたつの同じ容器に入った同量の水のうちBを、より細長く背の高い容器に移し替えます。6歳以下の子供は、水位が高い細長い容器の水のほうが多いと答えることが多いですが、保存の概念が獲得できると、容器を変えても水の量が変わらないということがわかるのです。
形式的操作期(12歳以上)
抽象的な物事についても理論的な思考ができるようになります。「AさんはBさんより背が高く、BさんはCさんより背が高いとしたら、身長が一番高いのはだれか?」という問いかけに対して、形式的操作期の子供は頭のなかだけで考えて答えをだすことができますが、具体的操作期にいる子供は、絵をかかないとわかりません。また、「もし~だったら」という仮想的な事実の推論ができるようになります。
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