「内集団バイアス」

身内びいき、内集団バイアスという言葉があります。人は他者との関わりの中で、誰が信頼できて、誰が仲間ではないのか、無意識に判断しています。
自分が所属する仲間のことを「内集団」それ以外のことを「外集団」といい、内集団に対して帰属意識が高い人ほど、仲間に対して好意的であったり、過大評価しがちだったりする「内集団バイアス」が生じるといわれています。

例えば、オリンピックやワールドカップなどの国際競技においては、自国の選手の活躍や勝敗を歓喜したり落胆したりするのがこれにあたります。母校出身の有名人が世界的な活躍をして、その人に対する評価をまるで自分自身の評価のように誇りに思うこともこれにあたります。

ポーランド出身のイギリスの社会学者ヘンリー・タジフェル(1919~)は実験で、見ず知らずの集団を、何の情報にも基づかずにランダムにふたつのグループに分け、Aグループに対してのみ「このグループに選ばれたあなた方は、独特の芸術を好むグループです」と伝えました。全く同じように分けた2つのグループであるため、AにもBにもそれぞれさまざまな個性や芸術的趣向が見られたはずが、Aグループから見たBグループは「個性的でない集団に入っている人たち」という「外集団同質性バイアス」による固定観念や偏見のきっかけになってしまったのです。

帰属意識が高ければ高いほど、自分の所属集団を他の集団と比べて、相対的に優れているか劣っているのかということが、自分自身の優越感や劣等感に直結しやすくなります。行き過ぎた仲間意識や、外集団に対する差別意識を形成するという弊害にもつながります。

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