パーソナリティは、時間が経っても、取り巻く環境が変わっても、一貫して変化することのないものなのでしょうか、それとも状況に応じてかわりうるものなのでしょうか。
パーソナリティ分析などの研究手法の背景には、パーソナリティは一貫していて、変化することはないというのが前提にあります。パーソナリティの根本的な部分は「ビッグ・ファイブ」の五つの特性で、状況によって変わることはないというのが有力です。
これに対し、アメリカの心理学者ウォルター・ミッシェル(1930~2018)は、パーソナリティは状況に応じて変化するもので、一貫したパーソナリティというものは存在しないと主張しました。
例えば穏やかな人が、車の運転の時や、スポーツ観戦の時だけ、攻撃的だったり興奮しやすかったりするなどの状況によって起きる変化は、「モードパーソナリティ」とよばれています。最愛の人を亡くす、トラウマを引き起こすレベルの事故や災害にあうなどの重大なきっかけでパーソナリティが変化してしまうこともありますが、これは「『爪痕』によるパーソナリティの変化」とよばれています。
このように、人のパーソナリティは地層のようにいくつかのパーソナリティがあって、表面的には変わっても、根本的な部分は生涯変化しないという考えが主流です。

心理学

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