心理学にまつわる専門家になるには
心理学は、社会心理学、認知心理学、臨床心理学、発達心理学など、幅広く発展していきました。扱う内容も、個人の心理を探るものから社会的な心理を解くものまで、多岐にわたります。心理学は心の不調だけを扱うわけではありません。日常生活の何気ない行動も心の働きによるものですし、集団としての心理など、さまざまな心と行動の仕組みを解明するために発展してきました。臨床心理学という分野については、第一次、第二次世界大戦の戦傷者を対象とした障害判定を行うなどの、軍人の精神衛生面の分析で活用されたこともあって、急速に拡大しました。当時の精神分析はフロイトをはじめとする医師が行っていましたが、20世紀に入ると医師ではなく心理療法を専門的に学んだ者が行うようになりました。
病を得た人の心の問題に取り組む専門家、つまり臨床での専門家となるのが、公認心理士や臨床心理士になります。このほかにも心の問題を支援する職種の名称としては、心理カウンセラー、サイコセラピスト、心理相談員など、さまざまなものがあります。資格の種類にも、民間法人や団体によって認定されるもの、また総合的なものから特定の専門分野に特化した資格があるため、これらを合わせるとかなりの種類に上りますし、活躍できる範囲がそれぞれ異なります。
資格の種類
公認心理士(国家資格)
心理学に関わる日本における唯一の国家資格です。近年心の健康が重要な課題となっていることを受けて、国家によって資質が裏付けられた心理職として、より専門性の高い情報の発信や提供を行います。2015年に公認心理士法が公布され、2017年から国家資格として公認心理士が誕生しました。年に1回の国家試験が実施され、受験するには四年生大学や大学院などで、施行規定で定められた科目を履修していることがなどが条件となっています。
臨床心理士(認定資格)
認定資格で、1988年に財団法人日本臨床心理士資格認定協会により定められました。カウンセリングなどの心理療法を用いて、クライエントの心の問題を解決していきます。資格取得には、指定の大学、または臨床心理士要請に関する専門職大学院を修了したあと、試験を受ける必要があります。受験資格にはこのほかのケースもあります。
その他(民間法人など)
上記にあるもの以外で、民間法人や団体認定の民間資格で心理学に関わるものには、多くの資格があります。
代表的なものはこちら。
学校心理士
臨床発達心理士
ガイダンスカウンセラー
認定心理士
産業カウンセラー
活躍できる分野の例
教育分野:学校内の相談室、教育センター、各種教育相談機関
医療・保健分野:病院・診療所(精神科・心療内科など)、保健所、リハビリテーションセンター
福祉分野:児童相談所、障碍者作業所、女性相談センター、老人福祉施設
労働・産業分野:企業内相談室、胸内健康管理センター、公立職業安定所(ハローワーク)、障がい者職業センター
司法・矯正分野:家庭裁判所、少年鑑別所、刑務所、児童自立支援施設、警察関係、専門的相談業務
心理学
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