EQ-感情知能とは

「人生の成功に必要な能力」

EQとは、感情について賢くなり、思考と感情を融合させて最適な意思決定をする能力です。
これが意外と難しいことは昔から理解されています。今から二千年以上も前に、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが、感情的に知性があるとはどういうことかを説明した一説があります。

「誰でも怒ることができ、それは簡単です。しかし、適切な相手に対して、適切な程度、適切なタイミングで、適切な目的で、適切な方法で怒ることは、簡単ではありません。」

この一説は、感情知能の活用の難しさと、活用できたときの素晴らしさを完璧に要約しています。
その難しさを表す日常的な言葉はたくさんあります。

  • あの時、言わなければよかった・・・
  • やはり伝えておくべきだった・・・
  • まさか、あの様になると思わなかった・・・
  • こうなるなら言わなかった・・・
  • 自分が間違っていた・・・
  • 買っておけばよかった・・・
  • あの時、とめておけばよかった・・・

実は、高い心の知能指数を持つ人は、これらの言葉と遭遇することは、あまりありません。自分自身と他人の感情を認識し、感情情報を使用して思考や行動を導き、さまざまな感情を識別して適切にラベルを付け、環境に適応するために感情をコントロールすることができます。
EQとは、感情と思考を活かし、最良の結果に結びつけるためのものです。

EQの呼ばれ方について

  • Emotional intelligence|エモーショナルインテリジェンス(略:EI|イーアイ)
  • Emotional Quotient|エモーショナルクオーシェント(略:EQ|イーキュー)
  • 感情知能|かんじょうちのう
  • 心の知能指数|こころのちのうしすう
  • 感情的知性|かんじょうてきちせい
  • などと呼ばれています。

    感情知能指数の歴史

    プラントとアリストテレス
    感情知能の研究は、古代ギリシャの哲学者のプラトンが「すべての学習には感情的な基盤がある」と書いた約2,000年前に始まったと言えます。しかし、科学的に検証可能な「知性」の形としての感情的知性という用語は、ピーター・サロヴィー教授(現イェール大学学長)、ジョン・メイヤー(ニューハンプシャー大学教授)という二人の研究者が1990年に発表した論文から始まりました。

    論文発表の3年前、1987年の夏、ピーターとジョンは、家の壁を塗装していた時に「なぜ、素晴らしい教育を受け、不自由のない人々が愚かな意思決定をしてしまうのか?」という話になりました。この原因を探すため、ピーターが「感情と行動を研究」し、ジョンは「感情と思考のつながり」を研究しました。
    2人は研究から重要な形に辿り着きました。これまでの知性の理論には感情を体系化されておらず、新しい種類の賢さ(インテリジェンス)である感情知能を概説する理論となりました。

    この1990年に発表された重要な論文の中で、彼らは感情の知性を、個人的および社会的目標を達成するために感情を使って推論する能力であると説明しました。
    その後、ダニエル・ゴールマンによって、1995年の著書『EQ~こころの知能指数(『Emotional Intelligence: Why It Can Matter More Than IQ』)』が世界中で支持され、感情知能の認知が高まりました。

    感情知能理論

    EQ理論原文と提唱者のピーターサロベイ博士とジョンメイヤー博士
    ピーター・サロヴィー教授、ジョン・メイヤー(ニューハンプシャー大学教授)は、感情の知覚、感情を使って推論する能力、感情を理解する能力、感情を管理する能力を含む4つの異なるステップ(ブランチ)があると提唱しました。概要は次の通りです。

    感情を認識
    最初のステップは、感情を正確に認識することです。多くの場合、これには態度や顔の表情など言葉ではない情報の理解が必要です。
    感情を使った予測
    次のステップでは、感情と思考の両方から現在の状況把握をおこないます。感情は、私たちが注意しなければならないもの、反応しなければならないものの優先順位や、反応の仕方や強さを決めるために役立てています。
    感情を理解
    私たちが感じる感情にはさまざまな意味があります。誰かが怒りの感情を表現している場合、周囲の人は、怒りの原因とそれが何を意味するのかを理解することです。
    感情の管理
    感情を効果的に管理する能力は、感情知能を活かす際の重要な部分であり、最高レベルに位置付けられます。感情をコントロールし、適切に反応すること、そして他人の感情に反応することはすべて、感情管理の重要な側面です。

    このモデルの4つの分野は、基本的なステップが下位レベルにあり、高度なステップが上位レベルにあります。たとえば、最も低いレベルには感情を認識するステップで、知覚(感じる)という表現が含まれますが、より高いレベルには、意識的な思考が必要となり、高度な感情の制御が含まれます。
    注意しなければならないことは、下位レベルの「感情の認識は、すべての基礎」となるため、このプロセスの精度が、上位の感情の管理精度に影響を与えます。

    最初の項目である感情の認識は、感情知能の最も基本となるレベルと考えられています。最後は、感情の管理で感情知能を活用するスキルとして最高レベルと考えられています。
    これには、自分の感情と他人の感情を管理(コントロール)する能力が含まれます。

    感情知能の概念図

    感情知能の概念図,Conceptualization of emotional intelligence. Source: Salovey and Mayer (1990).
    出典:Yale UniversityUNH/Conceptualization of emotional intelligence.Salovey and Mayer (1990).

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