稲盛和夫氏の人並み外れた楽観性の活用

経営の神様と呼ばれ、京セラ、現KDDIの創業者で、2010年に倒産した日本航空の再起を成功させた日本を代表する経営者の一人である稲盛和夫氏。本コラムでは、稲盛氏の2019年の著書『心。』の随所に記されている楽観主義(オプティミスト、ポジティブ、プラス思考、前向きなポジティブ)に関係する部分を引用してご紹介します。

プライベート、ビジネスのすべての場面で、楽観主義者(オプティミスト)は成功を手にし、悲観主義者(ペシミスト)は失敗に終わるという研究結果が示されています。悲観主義から楽観主義へ変わるためのトレーニングも開発されて、多くの人や企業がトレーニングに投資しています。

まず、最初に理解していただきたいことが「根性論と楽観性理論の境界を見極める」ことです。

根性論は、苦難に屈しない精神=根性があれば、どんな問題でも解決できる・またはどんな目標にも到達できるとする考え方であり、精神論・精神主義の一つ。wikipediaより

根性論は非科学的、非論理的なものです。どんな問題、どんな目標とあります。どんなは論理的ではありません。この見極めには知識、経験、論理的思考力、時間的猶予からの検討が必要です。現在の科学技術で物理法則を超えることへのチャレンジは非現実的であり、道徳法則に反する行動も考えられません。数ヶ月かかる取り組みを明日までに完了させるというような時間を無視した取り組みは困難です。
また、仕事の経験が豊富なベテランができることを新人に要求することも現実的ではありませんし、大人が努力すればできることを、子どもに取り組ませることも根性論と言えるでしょう。根性論の実践は回避が必要ですし、他者への強要もできるものではありません。

稲盛氏の著書に記載されているものは、科学的に証明されている楽観性の能力を示すもので、これからの人生、仕事で成功を目指すうえでは必須となるものです。

この著書では稲盛氏が楽観的な思考をした際の状況と具体的な能力の活用方法について紹介されています。本コラムでは、楽観性に関係する部分のみに焦点を当てていますが、オススメの一冊です。

楽観性(オプティミスト、ポジティブ、プラス思考、前向きなポジティブ)の詳細は次のページを参考にしてください。

稲盛氏『心。』の文中に記されていた楽観性の活用部分

稲盛和夫(2019).心。サンマーク出版

どんな劣悪な環境であっても、できるかぎりの仕事をやってやろうと思って肚を据え、研究室になかば泊まり込むほどに研究開発に没頭したのです。
やがて成果が上がりはじめ、おのずと周囲からの評価も上がると、ますますやりがいを感じて研究に邁進する。するとおもしろいように、さらによい結果が出る。そんな好循環が生まれ、やがて私は、当時世界的にみても先駆的な独自のファインセラミックス材料の合成に成功することができたのです。
P17

その過程では、幾度となく困難に見舞われ、大きな障壁にぶつかりましたが、そんなとき私はいつも、従業員にたいしてこういって励まし続けました。
「いま私たちは百年に一度あるかないかという機会を手にしている。その幸福に感謝し、たった一度の人生を意義あるものにしよう」
P23

どんな苦難に見舞われようとも、自らの運命、境遇を素直に受け止め、耐え忍びながらも明るく懸命に努力を重ねる。そういう人の人生は大きく拓けていきます。
P36

自らの境遇に不平不満ばかりを唱えていたときは何事もうまくいくことがありませんでした。しかし、運命を素直に受け入れ、肚を据えて仕事に没頭し出したとたん、人生の流れは逆風から追い風へと変わったのです。
※一部省略
目の前に現れた状況がいかに過酷なものであっても、それに対して恨んだり、卑屈になったりせず、つねに前向きに対処していく—それこそが、すばらしい人生を生きる秘訣なのです。
P37

災難がやってきたときの心のありようによっては、さらなる災難を呼び込むことになりかねない。そうならないための方策が、災難を「喜んで」受け止めることです。
怪我をしたなら、「ああ、これぐらいの程度の怪我ですんでよかった体が動かせないほどの惨事にならずにすんだ」と思う。病気であっても、「これぐらいの病気で、手術でよくなってよかった」と喜ぶことです。
P42

目の前にある境遇や状況をネガティブに受け止め、不平不満を並べたてているだけではなく、相手のおかげでいまの自分があることを謙虚に受け止め、感謝の思いをもちつづけることができるかどうか。それによって、その後の運命は大きく違ってくるものです。
P50

物事を成就させる人とそうでない人の違いは、わずかな差でしかありません。
これまで見たことのないような高い障壁が目の前にやってきたとき、それがたとえ仰ぎ見るような絶壁であったとしても、瞬時に「乗り越えられる」と自分にいい聞かせて、一歩を踏み出せるかどうか。「自分なら登っていけるはずだ!」と思えるかどうか。
P99

「一度や二度で尻尾を巻いてどうする。目の前に立ちはだかるのがどんなに高い壁のように見えても、まず『かならず超えられる』と思うことだ。壁に手でふれてみたら、それは石ではなく紙でできているかもしれない。紙なら、打ち破ればいい。石でできているなら、どうやってよじ登ってやろうかと考えればいい。それもしないで、『無理だ』といって手をこまねいているのは、ただの怠惰というものだ」つまり「ダメだと思ったときが仕事の始まり」である。困難な状況だからこそ、かならず打開する道はあると信じて、ひたすらに進んでいく。そのときに運命の扉が開くのだ。
P100

「製品開発はどのくらいの確率でうまくいくのか」と問われれば、迷うことなく「手がけた開発はかならず成功させます」と答えていました。事実、当時手がけたプロジェクトは、すべて成功させることができました。その秘訣は何かと問われたら、ただ一つ、「あきらめない」ことなのです。ひとたび研究開発に着手したら、「かならずできる」と信じ、途中でいかなる難局を迎えようと、またどれほど大きな障害物が現れようと、けっしてあきらめることなく歩みを進めていく。そのことが、いかなる困難にも打ち勝つ力となり、大きな成功へと導いてくれるのです。
P104

その歩みは遅々として先が見えず、いつになったら商品になる結晶ができるのかと気が遠くなる思いもありましたが、「いまはちっぽけな結晶しかできないが、これが成功すれば世界でも類を見ないすばらしい仕事になる。人間の能力は無限だ。能力を“未来進行形”でとらえて、チャレンジしつづけよう」と、私は研究員たちを励ましつづけました。
P107

強い思いをもち、それを持続させることによって、その時点ではとうてい無理だと思われていたことも、やがては現実のものにすることができるのです。高い目標を掲げ、そこに到達したいと願うなら、何としてでも実現するという強烈なまでの思いを抱くこと。そして、思いには物事を成就させるすばらしい力があるのを知ることです。
P110

会社が発展するかどうか、あるいは生まれ変わるかどうか。その鍵を握っているのは、多分にそこにかかわる人たちの心のありようなのです。とくに経営者にとって必要なのは、けっしてあきらめない強靭な意志、どんな状況の中でも活路を見いだすネバーギブアップの精神です。
P121

燃えさかるほどの強い意志を抱き、そして明るい希望を心に抱きながら、絶え間ない一歩を確実に歩んでいく。すると、まったく八方ふさがりに見えた道でも、山を登っていて一気に視界が開けるように、それまで抱いていた悩みや疑問が一瞬のうちに氷解することがあります。
P123

稲盛氏は、根性論ではなく、楽観性を発揮し、京セラ、現・KDDIの創業、日本航空の再建に取り組んでいたことが本書から確認できます。
前向きな思考は、前向きな感情を生み出します。そして、前向きな感情はさらに前向きな思考を引き出し、内なるモチベーションを高めます。この前向きな思考と感情は、自然に他者に伝播し、他者の脳内の神経物質のバランスを前向きな状態に変え、彼らの捉え方やモチベーションにも変化をもたらします。職場のリーダーは、自分自身の姿勢がチームメンバーに影響を与えます。また、家庭においても保護者の姿勢が子どもたちに大きな影響を与えます。

ご自身が楽観主義者か、悲観主義者か確認することからはじめてみましょう。

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