あなたは1日のうちで、何かに感謝しそれを伝える(表現する)ことが何回ありますか?
ものに溢れる現代で、何かを与えてもらった時の喜びは薄れているかもしれません。コロナ後となった現在でも、人と接することも少なくなったこの時代に、相手に感情(気持ち)を伝えることは少なくなったかもしれません。ですが、この『感謝すること』は感情を豊かにする上でとても重要な役割を担っています。感謝するということは、そのことに対して『気付く』ことができなければならないからです。その気付きを見過ごしてはいませんか?
Journal of School Psychologyに掲載された研究結果によると、研究対象となった11歳〜13歳までの子供のうち感謝の気持ちを持てる子供は、より物事に対し幸せを感じることが出来たそうです。幸せを感じられることから楽観的な思考を持つことができ『きっとうまくいくだろう』と物事を前向きに捉えることができました。また、14歳〜19歳までの、感謝の気持ちを持てる子供を対象にした研究では、自己肯定感が高く自分の人生に満足がいくよう自分の強みを理解し、学業やコミュニティなどを円滑にこなすことができたという研究結果が出ています。
では、どのようにしたら『感謝できる』ようになるのでしょうか。このような感情を持つことは努力でも天性でもなく、日常生活や家庭での簡単な習慣で身につけられます。ここでは、その簡単な習慣についていくつか紹介します。
ありがとうを見つけ、伝える
- 席を譲ってくれて『ありがとう』
- 窓を開けてくれて『ありがとう』
- テーブルの上を片付けてくれて『ありがとう』
- ご飯を作ってくれて『ありがとう』
本当に小さなことでも『ありがとう』と思えることをまずは見つけましょう。心の中で感じていても、普段の生活の中では口に出して相手に伝えることはあまりしないことが多いです。口に出すことでそれが習慣化し『ありがとう』という感謝の気持ちが具現化されます。
もし、あまり感謝できることがないと思っていても、それは考え方次第なのです。少し思考を変えるだけで、それは『感謝できること』に変わります。例えば『雨が降って、出かけるのが嫌だな』と思ったとします。外で遊べないし、雨に濡れると髪も服も濡れて気分が優れないかもしれません。でも、視点を変えて雨が降ることで花や植物が育ち、その恩恵で食卓や心が豊かになっていると考えてみたらどうでしょうか。気持ちは少し良い方向へ変わり、雨にも感謝する気持ちが生まれるかもしれません。そういった思考を身につけさせることが大事です。
日の終わりに今日の良かったことを3つ思い出す
- 運転中、赤信号につかまらなかった
- 美味しいご飯が食べられた
- 面白いテレビ番組が観れた
- 家事はできなかったけど少し休んだおかげで体が楽になった
これは、親子のコミュニケーションの一環としても良いとされています。寝る前のほんの少しの時間に、子供と一緒に今日あった『良かった』ことを思い返すのです。忘れかけていた今日の小さな良かったことを思い出すことができ、そして幸せな気分のまま眠りにつくことがでます。さらには、考え方の視点や視野を広めることが出来ます。
育児や家事で忙しく、なかなか子供の相手をしてあげる時間が作れなくても、この『良かったこと探し』を寝る前のほんの少しの時間に行うことは、限られた時間の中でも子供に向けてたくさんの愛情を注ぐことが出来ます。愛情を感じた子供は、大好きな人が味方でいてくれる、話を聞いてくれる、認めてくれることを実感し、感情豊かで自己肯定感の高い人間に成長していきます。
これは、すなわちEQ(感情知能)の高い人間へのステップとなります。
家庭でのちょっとした習慣からEQが育まれていくことでしょう。
Youssef A-JS、Froh JJ、Muller ME、Lomas T.若者の感謝の測定:子供と青少年における大人の感謝の尺度の心理測定特性を評価する。心理的評価。2011;23(2):311-324. doi:10.1037/e711892011-001